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H-2Bロケット3号機 機体移動編



2012年07月21日11時06分(JST)、宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機を載せたH-2Bロケット3号機は、種子島宇宙センターか打ち上げられ、7月27日には国際宇宙ステーションドッキング。8月6日には日本の実験棟「きぼう」用の曝露パレットが取り出され、「きぼう」船外プラットフォームに取り付けられました。
今回は、このHTV3の打ち上げに種子島宇宙センターで立ち会うことができたので、前日の機体移動を含め二部構成で記事にします^^
※本記事では、一部モバイル端末での文字化け防止のため「H-ⅡB」を「H-2B」という表記で統一しています。


「機体移動」とは

ロケットを組み立てる「ロケット組立棟」から射点までロケットを移動させる行程のこと。今回のH-2Bロケット3号機では種子島宇宙センターの「VAB(大型ロケット組立棟)」から「LP-2(吉信発射場第二射点)」までの区間、約400mを30分かけて移動する。

IMG_0217ns.jpg
▲19時34分、大型ロケット組立棟(VAB)の、奥側の扉から登場したH-2Bロケット3号機。左下のテントの様な形の建物は、大型ロケット発射管制棟、通称「ブロックハウス」。


IMG_0234ss.jpg
▲ロケットを運搬している「大型ロケット移動発射台運搬台車」、通称「ドーリー」。発射台下部の緑色の車両がその「ドーリー」である。車体は常にVABの方向を向いているため、射点への移動はバック走行ということになる。

P3261977.jpg種子島宇宙センター、大崎第一事務所の展示格納庫内に置かれているドーリーのタイヤ。
H-2Aロケットでは移動発射台とロケット本体の合計重量は約1000tであったが、H-2Bの場合は1400tもの重さがある。このため―ドーリーにも改良が加えられている。
ドーリーは一台あたり4個のタイヤが14列並べて配置されており、総計56個のタイヤで走行する。機体移動時は2台のドーリーで運搬するため、H-2Bの機体移動で1つのタイヤにかかる重量は約12.5t。
タイヤはフォークリフトのタイヤでも使用されるウレタン製のソリッドタイヤで、実際に触ってみると非常に硬いことが分かる。タイヤの自重は1個350kg、価格は200万円する。




MOVE_allhsss.png
▲移動するロケットを追跡撮影し、時間ごとに並べてみた^^ 今回は報道関係者が見学する場所で、ロケットとの距離は500mもない近い場所からの撮影なので、角度変化が大きく感じる。今回使用された大型移動発射台は第3移動発射台(ML3)かと思われる。


より大きな地図で H-2B F3 移動経路 を表示
▲今回の機体移動の経路。種子島宇宙センターで見られる機体移動の中で、H-2Bは、VABは第二整備組み立て棟を、射点はLP-2を用いるため、曲がる回数が最も多いルートを通る。全部て4回あったカーブポイントの内、最初と最後のカーブポイントを動画で撮影した。


▲動画1  
 地図上で青い印で示した区間の移動。生で見た時は、「ピコンピコン」という移動時の音がもう少し鮮明に聞こえたが、動画では虫の音にかき消されてあまり聞こえない(笑)




▲動画2
 直線移動区間をEOS 7Dで撮影。地図上で示した黄色い区間。手前の球形のタンクと相対的に見るとかなり速い速度に感じるが、移動速度は時速2km程とされている。




▲動画3
 射点(LP-2)への到着時の映像。地図上で示した紫色の区間。よく見ると射点到着の際は減速しているのが分かる。



前述の通り、今回機体移動を撮影した場所はロケットから500m足らず。恐らく打ち上げに携わるJAXA職員や重工メーカー職員以外が最もロケットの近くによることのできるギリギリの場所からの撮影となりました。

折角なので、射点に到着したH-2Bロケット3号機の詳細を見ていくことにします!
 

衛星フェアリング


IMG_0250ss.jpg

▲川崎重工製の5S-H型フェアリング。今回、ISS(国際宇宙ステーション)とドッキングを果たした宇宙ステーション補給機HTV3(H-2 Transfer Vehicle)は、この白い先端部の中に搭載されている。
同フェアリングは川崎重工 岐阜工場(岐阜県各務原市)で設計・部品製造がおこなわれ、同社播磨工場(兵庫県播磨市)で組立、昨年(2011年)7月に完成の後、船舶輸送で種子島に輸送された。2012年7月1日に種子島宇宙センター衛星フェアリング組立棟にてHTV3をフェアリングに搭載。上の写真を撮影した翌日の7月21日11時06分18秒にH-2Bロケットは無事打ち上げられ、11時09分59秒にフェアリングは分離。フィリピン海上に落下し、現在は洋上を漂っているものと思われる。
IMG_0250sso.jpg
▲5S-H型フェアリングの特徴の一つは、青丸で囲ったこの「大型アクセスドア」。フェアリングに衛星を格納した状態でも内部にアクセスできる。大きさは1m30cm。
写真下部3か所に写っているイボ状の膨らみは「バルジ」と呼ばれ、内部のHTVの突起がフェアリングに収まりきらないために設けられたもの。裏側のバルジを含め全5か所設置されている。
ssepalate.jpg
▲フェアリングがどこで分裂するかを明度を加工して示してみた^^ このような分裂方式を、二枚貝が開くように分かれることから「クラムシェル型」という。分離境界面に設置されたパイプを急膨張させることで、接合部分558本のボルトを引きちぎって分離する仕組みになっている。パイプの膨張は、パイプ内部で火薬を爆発させることによって引き起こす。


第2段機体/第1段機体



IMG_0248.jpg

▲H-2Bロケット3号機の第2段機体、第1段機体。
最上部の白い部分が衛星フェアリング、その下のオレンジ色・黒色の細い部分、黄色の中間部が第2段機体、JAXAや三菱重工のロゴが入っているオレンジ色の部分から最下部までが第1段機体である。

IMG_0248ht.jpg
▲第2段機体にはHTVのロゴ、第1段機体の最上部にはIHI、NEC、川崎重工、JAXA、三菱重工、航空電子などのロゴが見える。第2段機体のHTVロゴは3号機のみならず、毎度のミッションで使用されているもの。
IMG_0248f3.jpg
▲HTV3とH-2Bロケット双方が含まれているロゴ。H-2B F3(3号機)のロゴともとらえることができる。



SRB-A


IMG_0249.jpg
▲SRB-Aとは、第一段機体下部4か所に取り付けられた補助ロケットブースター(写真の白い部分)のこと。本体は液体燃料を使用しているが、こちらは固体燃料を推進剤とし、ロケットの打ち上げ能力を補強するものである。H-2Bロケットでは第一段機体の周囲4か所に設置される。一般的にロケットは、衛星の軌道投入までの間にいくつもの部位を切り離すが、H-2BロケットにおけるSRB-Aは最初に切り離される部位である。


IMG_0234SRB-A.jpg▲機体移動時に撮影したSRB-A。
前回のH-2Bロケット2号機におけるSRB-Aの分離の際、第一ペア(4本のSRB-Aのうちの2本)分離時に、分離のタイミングが微妙にずれ、機体全体に回転がかかるというアクシデントが生じた。このため今回の3号機では「スラット」と呼ばれる接合部分の「FLSC-2ホルダ」という分離機構が設計変更されている。
スラットは上の写真では、SRB-Aからのびる支柱が下部で集中している黄色い部分、その黄色い部分と縦方向のつなぎ目が「スラット」である。つまり支柱はSRB-Aとともに落下する。




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